「友達に喜ばれるように」——名前が人生になった話
私の名前は、友喜という。ともき。両親が「友達に喜ばれるように」という願いを込めてつけた名前だ。
一九八一年、山口県下関市。生まれた時の私は、この名前がどれほどの意味を持つことになるか、当然知らない。両親も知らない。ただの願いだった。
正直に書くが、少年時代の私は、勉強がまったくできなかった。本を読んでも、ただ読むだけで、理解していない。算数も、理解していないから解けない。今思えば「勉強のやり方」そのものを知らなかったのだ。だから私にあったのは、スポーツだけだった。
サッカーでは、出場する大会でほとんど優勝した。ただし、大きな大会では常に負けた。小さな舞台では勝てるのに、大きな舞台では勝てない。この悔しさは、四十年以上たった今でも覚えている。
中学に上がると、サッカー部がなかった。ならば、とバスケットボールを始めた。とにかく練習した。朝も、放課後も、休みの日も。中学三年で山口県選抜に入り、全国大会に出た。
この時、私は大事なことを一つ覚えた。環境が変わっても、腐らない。その場所で、頂点を目指す。やりたい競技がないなら、そこにある競技で一番になればいい。
そして、もう一つ。県選抜も、全国大会も、一人ではたどり着けなかった。私を誘ってくれた友、競い合った仲間、パスを出してくれるチームメイト。勉強のできない私の周りには、なぜかいつも、友達がいた。
「友達に喜ばれるように」——両親のこの願いは、逆向きにも働いていたのだと思う。私が友達に喜ばれる前に、まず友達が、私を助けてくれるのだ。この構図は、この後の人生で、何度も何度も繰り返されることになる。英語がゼロのままカナダに渡った十八歳の私を救ったのも、独立した私に生涯の相棒を引き合わせてくれたのも、ぜんぶ友達だった。その話は、次回以降に書く。
会社をやるようになって、私は自分の経営哲学を一言で言えるようになった。「共に喜ぶ仲間を大事にする」。難しい理論ではない。私の名前を、そのまま生き方にしただけだ。
名前は、親からもらう最初の設計図なのかもしれない。私は四十五年かけて、その設計図の通りに生きてきたらしい。
あなたの名前には、どんな願いが込められていますか。
あなたは、何のために働きますか?
English Summary
My name is Tomoki. My parents chose characters that mean "to bring joy to friends."
As a boy in Shimonoseki, a port town in western Japan, I simply could not study. Reading without understanding, failing at arithmetic — all I had was sports. When my junior high school had no soccer club, I switched to basketball, practiced relentlessly, and made the prefectural select team.
What I learned was this: when the environment changes, don't sulk — aim for the top wherever you are. And one more thing: I never got anywhere alone. Around a boy who couldn't study, there were always, somehow, friends.
My parents' wish worked in reverse, too. Before I could bring joy to friends, friends kept saving me. That pattern would repeat for the rest of my life — in Canada at eighteen, in business, to this day.
Years later, I can state my management philosophy in one line: cherish the companions who rejoice together. It is not a theory. It is simply my name, lived out.
A name may be the first blueprint we receive from our parents. It took me forty-five years to realize I had been following mine all along.
What does your name mean? And — what do you work for?
— Tomoki Nagano, Chairman & CEO, INSTINCT BIO TECHNICAL COMPANY (NASDAQ: BIOT)
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次回予告:第3回「英語ゼロで、卒業15日後にカナダへ飛んだ話」(近日公開)
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INSTINCT BIO TECHNICAL COMPANY 公式サイト — instinct-biot.com本連載は筆者個人の考えを述べたものであり、業績予想、株式の評価、投資勧誘を目的とするものではありません。